Carpenter’s commitment 大工さんに聞く家づくりコラム

建築と住宅を両立させるのは実はとても難しい

朝一番、新建新聞社の新春企画で購入した本3冊のうちの1冊「和MODERN vol.11」を見ながら有名建築家さん方の作例や想いを感じていた。

数ある発行所の中でも、建築系に関わる書籍は、新建新聞社が一番信用できるし、よりプロ目線の内容である。

その「和MODERN vol.11」の中に、〈五十鈴川の家〉[横内敏人建築設計事務所]のページに目が留まった。

「建築と住宅を両立させるのは実はとても難しい」

このタイトルに惹かれて、作例写真や記事を読んでいると、私が常々求道している記事が書かれていたのである。

本の内容から引用させていただくと。

 

建築か住宅か。

住宅設計をしているとき、心の底では自分が設計している住宅が建築であってほしいと常に願っている。しかし住宅と建築を両立するのは実はとても難しい。それは住宅と建築に求められているものが、まったく正反対といってもいいからである。

まず住宅とは個人のもので、日々の生活の用に供するものでなければならない。極端にいえば、そこに住む人が良ければそれで成り立ってしまうのが住宅である。一方で建築とは時を越え、文化の違いや世代の違いさえ超えて多くの人に感動を与えるもので、人類に共通の普遍的価値をもつものでなければならない。また住宅は機能的かつ実用的でなければならないが、一方でたとえ建物の機能が失われたとしても価値を失わないものが建築である。

住宅を設計する時はそれが建主のものである以上、彼らの日常生活を最大限に豊かにするものでなければならないと思う。しかし同時に、その家のあり方が他の多くの人々の共感を呼び、時代が変わっても愛され続けていく魅力を備えていることもまた重要だと私は考える。そしてその両者を何とかして両立させることこそ、建主にとって最も幸せなことだと心から信じているのである。

 

この言葉こそ私が追い求めている課題であって、建築家の横内氏の考えは正直であり建築に携わる人は見習わなければならないことだと思う。

兎角、意匠設計専門の建築士は、自分の作品さえ人気が出ればよいと考えて、予算も考えず耐久性も無視するエゴイストが多いし、施工のプロからしたらヤバい物件など山ほどある。

逆に施工がヤバい建設業者はもっとある。

建築と住宅をバランスよく両立できるのが一流と言えよう。